茜色の空へ

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そう思うと、急に焦りが芽生えた。 伝えたい。 伝えたい。 でも、伝えられない。 焦る気持ちと裏腹に、堺くんに告白ができない。 そうやって心の中で葛藤を繰り返していく内に、時が流れ、わたしは二年生になった。 吹奏楽でも新入部員が入って、賑やかになった。 そしてトランペットパートの後輩になった遥と、とても仲良しになる。 2人で何でも話し合った。 勉強のこと。今の部活のこと。将来のこと。 そして恋愛のこと。 特に好きな人の話をするのは大好きだし、楽しかった。 「茜先輩の好きな人って誰ですか?」 「ん~?内緒っ!」 「え~?教えてくださいよっ!?」 相変わらず堺くんに思いを伝えられないまま時間が過ぎていったけど、でもとても楽しい。 そして、ついに高校最後の年になった。 わたしは三年生。 ここにいて堺くんを追いかけられのも、もう出来なくなるのだ。 そしてすぐにその季節はやってきた。 高校野球、最後の夏の大会。 スタンドに立って、ナインを応援できるのもこれが最後。 そして、堺くんを見ていられるのも。
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