茜色の空へ

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野球の応援の曲は、選手によって違う。 ヒットを打った時、点が入った時にも演奏する曲はそれぞれだ。 一応、応援するからには選手の好きな曲を選んでもらう。 その打ち合わせに、わたしが行くことになってしまった。 わたしがパートリーダーで副部長も兼任しているからだ。 部長が多忙のためにいないので代わりにわたしが打ち合わせに出る。 野球部は夏大会の練習のためにグラウンドにいた。 わたしは練習中のところに赴く。 グラウンドに来てから、どうしようという気持ちになる。 ああ…もぅ、誰に話しかけたらいいんだろ…。 オロオロと困っていると、後ろから声をかけられた。 「あっ、吹奏楽の人ですか!?」 ドキッとして振り向く。 堺くん…! 「は、はい…!」 「ちわっす!応援を盛り上げてくれる吹奏楽の皆さんにはいつも感謝してます!」 礼儀正しく挨拶をする堺くん。 その大きな声に、少しビックリしてしまった。 「はい!え、えっと。今日は応援の時に演奏する曲のことで…う、打ち合わせに…!」 「ああ、そうっすね!どんな曲があるんですか!?」 「えと…これがリストで…。」 「お…うわ!すげぇ!こんなに沢山あるんだ!?」 まるで小さな子供のように目を輝かせる堺くん。 「すごいなぁ、吹奏楽部って。あ、みんなにどれがいいか聞いてきます!」 そう言うと、堺くんは走って行ってしまった。 堺くんと話せた…。 わたしの心臓はバクバクいっていた。
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