茜色の空へ

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遥の、すっかり熱くなってしまった手を握り、わたしたちは夕日がよく見える場所へ行った。 顔が真っ赤に染まるほど赤い夕日。 遥はずっと泣いていた。 そして、わたしも胸にナイフが突き刺さったかのように痛んだ。 でもその傷口から滲み出たのは、悲しみや憤りなんかじゃなかった。 溢れ出るのは……堺くんへの想い。 次から次へと溢れ出る。 そしてようやく気づく。 ああ、わたしの恋は終わったんだな…。 こんなに好きになったの初めてなのに…。 目頭が熱くなる。 涙が……こぼれ落ちる。 きっとわたしは高校を卒業しても、堺くんと同じ学校に進学できなくても、彼が他の誰かと両想いになっても、きっときっと…もうどうしようもなく好きでいると思う。 それが大人になったとしてもきっと…。 でも、もう泣かないよ。 この気持ちは全部、あの真っ赤な夕日と茜色の空に向かって吐き出したから。 遥と2人。 あの茜色の空に叫ぶ。
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