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そして夏が過ぎ、わたしたち三年生は部を引退した。
「先輩ーっ!茜先輩ーっ!」
遥の声がして振り向く。
「遥ぁ。どうしたのよ全速力で。」
走ってきて、息が切れた遥をからかう。
「せ、先輩っ…!あ、あのぅ…!さ、三年間ご苦労さまでした!」
大声で叫ぶ遥に思わず吹いてしまう。
わたしたちは、校庭を歩いた。
「先輩。先輩は進路どこに決めたんですか?」
「ん、ああ決まってるよ。」
わたしは手に持っている大きな茶封筒をヒラヒラとさせる。
「デザイン系のほうにね、進もうと思ってるの。」
「デザイン系ですか!?」
「うん。絵描くの好きだしね。将来は目指せイラストレーター!かな。」
「す、すごいです!カッコいいです!」
目をキラキラと輝かせる遥。
そんな遥のおでこをコツンと小突く。
そして2人で笑い合った。
わたしには夢がある。
だから前に進むよ。
堺くんのことを無理に剥がすことはまだできないけれど…。
あなたを好きになれて良かったと思える日が来るよね。
それまでわたしは歩き続けるよ。
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