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「待てコラーッ!!」
太陽が地平線に沈み月が輝きを放ち始めた頃、辺りの静けさを掻き乱すかのように少年は大きな叫び声を上げた。
ここは明等高等学校。少年が駆けている廊下に人気はなく、辺りからは不気味な気配が醸し出されていた。
それもそのはず、こんな時間に人がいるはずもなく、すでにすべての生徒は下校していた。…この少年を除いては。
「ふふん、お前遅いにゃぁ…。そんにゃんじゃ、いつまでたっても私を捕まえられにゃいぞ?」
少年が追いかけているもの…それは猫だった。そしてこの猫、言葉を話すのである。
なぜなら、この猫は魂だけの存在-そう、幽霊だからだ。
「畜生…ちょこまかと跳ね回りやがって…」
そしてこの少年、猫が見えているということは、つまり霊視能力…いわゆる霊感体質というものを持っているである。
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