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「どうした、哲也?今日はいつも以上に鈍臭いではないか」
「その分だと、俺はいつも鈍臭いみたいだな」
少年の背後に突然、音もなく制服姿の半透明な少女が現れた。そう、この少女も幽霊である。
「事実を言ったまでだが?」
「…………」
押し黙った少年を見て、少女は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「それよりも柑菜、あいつの動きを止めてくれないか?これ以上は俺の体力がもたん」
「…ふむ、仕方がない。やれるだけやってやろう」
柑菜と呼ばれた少女は、両手を前に突き出し念をこめた。
途端、先程まで素早く走り回っていた猫…ではなく、絶賛疾走中の少年の動きが止まった。
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