プロローグ

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「なっ……!!」 少年は慣性に従って、そのままなだれ込むかのように廊下で見事なヘッドスライディングを決めた。車は急に止まれない。 「ぐおぉぉあぁぁぁ!!」 その姿はまさに、冬季オリンピックで国◯選手がダブルコークを失敗したときのような、見事な顔面スライディングであった。 「…お前なにしてんの?」 しばらくして、廊下に顔を伏せたままの少年は、呻くかのように小さく声を漏らせた。 「すまない、どうやら相手を間違えてしまったようだ」 「…ふざけんな。本当の事を言え」 「スマン、わざとだ。面白そうだからやった。反省してまーす」 少女のきっぱりとした告白に脱力した少年は、返す言葉もなく、そのまま廊下に突っ伏した。 校舎の窓から差し込む月光が、少年を優しく包み込む。 …ちなみに、猫の幽霊が逃げてしまったことは言うまでもない。
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