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とりあえずノック。
ふっ、とそう頭に浮かんだ。
コンコン、コン。
リズムの悪い音が響く。
「どうぞ」
扉の内からはそれだけが聞こえてきた。
久しぶりに緊張してきた――
久しぶり? 何だろう、すごく懐かしい気持ちになる。
自分の中の変化が少し嬉しい。
ドアノブに手をかけ勢いよく開ける。
「し、失礼しますっ」
知っているのに味わった事がない"緊張"、少し固くなってしまった。
扉を開けると彼はベッドに座りこちらを見ていた。
医者か看護師を期待していた彼は少し意外な面持ちでこちらをみる。
そういえば、私はどんな格好なんだろうか。
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