第一章

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玉座には 鞘に納まったままの剣が 立て掛けられている。 そして その傍らに メイドとは別の少女が 立ってこちらを見ている。 年齢は十代前半 女性としては未完成な年頃だが すでに恐ろしいまでの 美貌の片鱗を 垣間見せ始めている。 透き通った白い肌に 艶やかで瑞々しい黒髪 大きな目の中心には また磨き込まれた 宝石のような 漆黒の瞳が こちらを捉えている。 形の整った薄桃色の唇が 端正な顔に アクセントを添えている。 そして 銀髪の青年と揃えるような 黒いマントで 全身をスッポリと 包んでいる。 黒髪の少女は 取り立てて 何の感情も見せない それが 一団には不気味だった。
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