第二章

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主人の部屋は マリアベルの部屋の すぐ上の階で この城の最上階になる。 トレーの上に ポットとカップ そして サンドイッチを乗せて 階段を上がって行く。 目的地には すぐに到着し 扉の前で一度 深呼吸をすると 軽く二度 ノックした。 返事はない… …が それもいつもの事だ。 ゆっくりと 扉を押し開く。 室内は とてつもなく広い だが その床を本の山が 埋めている マリアベル 「おはようございます ロキ様」 彼女の主人は その本の山のなか 小さな脚立に腰掛け 右手に銀の細工を施された キセルを持ち 左手に 大きな辞典ほどある本を持って 黙々と読みふけっていた。 これも いつもの朝の光景だ。 彼女の主人は いつ 寝ているのか 全く知らない 寝顔を一度も見たことがない しかし いつ見ても 自分の主人はキレイだと 彼女は思う。
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