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そして乱されている原因が少しだけわかった気がした。
ああ、私はこの人の存在に乱されているんだ。
「・・・・・・ごめんなさい。色々急で驚いただけで・・・・でも考えたら土方さんの方が大変な目に遭ってるんですよね・・・・・・ごめんなさい」
紅葉が謝ると、土方はその秀麗な顔に驚きの色を浮かべた。
「・・・・・・何ですか? 素直に謝ったのに・・・」
返事のない土方に紅葉が言うと、
「ありがとう」
言葉と同時に、熱い吐息が降って来た。
え?
戸惑う間もなく、土方の腕は紅葉の腰をしっかりと抱き、その唇は互いに重なり合う。
突然の出来事に少し驚いた後、甘いけだるさが紅葉を支配してゆく。
「ん・・・・・・」
力強い腕とは裏腹に、優しいとろけるようなキス。
誰かに見られたらどうしようとか、そんなことさえも考えられないくらいすべてが麻痺していく。
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