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長いような短いような、ただひたすら甘い時間が過ぎて土方の唇がそっと離れた。
紅葉はぼうっとしたまま動けない。
「・・・・・・・・紅葉?」
土方の言葉にはっとなる。
「あ、え、あ、えっと・・・ええっ?!」
訳がわからず思わずパニック。
「刺激、強すぎたか?」
土方がにやりと笑う。
「刺激って・・・・・ええっ?! 今何を・・・・・・」
ああダメだ。
何を言っているのかわからない。
「こんなところにおったか。土方君、ちょっと手伝ってくれないか」
ふいに庭の向こうから祖父の声がした。
「はい」
土方はすっと立ち上がる。
そして何事もなかったかのようにすたすたと歩いて行く。
ひとり取り残された紅葉は、真っ赤な顔のまましばらく硬直していた。
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