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ある日あるとき、貴方の住まいに一通の封書が届けられます。
宛名は確かに貴方、差出人はと見れば、最寄りの地方裁判所の名が厳めしく記してある。
何事かと封を切ってみると、まず目に入ったのは『呼出状』の三文字。その瞬間、貴方は法廷に引き出される自分を想像してドキリとし、と同時に、今から何ヵ月か前に同じ裁判所から届いた通知の事を思い出すかもしれません。
それは、貴方の名前が来年度の『裁判員候補者名簿』に登録されたという内容で、裁判員への就職禁止事由がないかどうかについて尋ねる調査票が添えられていていました。
ということは、ひょっとして……? 貴方は呼び出しの趣意を知ろうと、はやる思いで中身を取り出し、書類を開きます。すると、そこには――
そう、扉はすでに開かれてしまったのです。
このあと、貴方は三つの不可解な殺人事件に、その裁きの場に誘われるでしょう。それぞれの『貴方』は別人ではあるけれど、被告人の運命を握り、真実解明の一翼を担っているという点では変わりがありません。
さぁ、指定の日時に裁判所の玄関をくぐり、無事所定の手続きを済ませたら、静かに待つとしましょう。
そうそう、ここでアドバイスを一つ。より良く裁判員法廷を理解していただくためには、三つの事件を前から順にお読みいただくが吉です。物事は何によらず順番が大事ですからね。
おっと、そんなことより、ほら……まもなく開廷です!
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