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「やっと着いたか。シリウスっつー町に」
「ここまでの間に魔物が出なくて良かったねー」
魔物って何だよ。ゲームじゃねーんだぞ?
俺は辺りを見渡す。全く知らない文字。読める気がしないな…。
「…とりあえず、色々と確かめないとな。俺はまだ現実とは思えない」
「何言ってんのアスラ?これが現実じゃなかったら一体何が現実なの?」
何が現実かって決まってるだろ。毎日つまらない学校へ行って、勉強という悪魔と戦う。そんな日常だ。
………なんて言えなかった。いや、言いたくなかっただけだ。これが夢だとしても、俺は受け入れたくなってきた。
そう思うようになったのは、空を飛んでる白い―――いや、箒に乗った女を見かけたからだ。
高校生になっても憧れ続けたファンタジー。それが目の前に広がっている。これが現実でも、案外悪くないな。
「―――って何!?ねぇ、アスラったら!」
…そういや、アズサの事忘れてた。あれからずっと俺を呼んでいたのだろうか?だとしたら懸命な奴だな。
俺はアズサの頭の上に手を乗せる。
「何でもねーよ。お前には程遠い何かだ」
「何その言い方!スゴくムカつく!」
「勝手にムカついてな。本当にお前には理解できないことだしな」
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