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「仕事…あぁ、悪党がどーとか言ってたな」
実際に勘違いされて追い回されたしな。今更だがよく生きれたな俺。
「うん。これからまた探さなきゃ………」
「そうか。ありがとう、色々助かったぜ」
俺は礼を言う。アズサは顔を赤くして小さく頷いた。
俺達は別れ、俺はバイトを始めることにした。簡単そうなやつを探すとしよう。
夜になり、一日が終わろうとしていた。
「あれから思ったことは、これはやっぱり現実だ。一日中動き回ってる夢見て目ぇ覚めない方がスゲーよ」
俺はバイトで貰った金で安い宿に泊まることにした。チェックインしようとした時、後ろから声が。
「大変だ!森で女の子が倒れていたぞ!」
俺は嫌な予感がした。俺のいた場所は森。アイツがやっつけようとしていた集団も―――。
俺は宿から飛び出し、その女の子が倒れている場所へ向かった。
しかし、何で行くんだ?俺とは全く関係の無い赤の他人。そんな奴のために俺は走っているのか?いや、違う。自分のためだ。アイツは俺にとって利用価値がある。そいつを失うのはあまりにも惜しい。
駆け付けた先にいたのは、やっぱりアズサだった。
「アズサ………」
俺はアズサの首元に手を当てる。微弱ながら動いている気がした。
「この子はもう手当てしたから大丈夫だ。それより兄ちゃん、この子の兄弟か何かか?」
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