一週目 ‐突然始まるファンタジー‐

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シリウスの町へは歩いて10分らしい。そこまで遠くはないな。 無言で歩いていると、アズサが声をかけてきた。 「ねぇ、あんたの名前は?」 名前を聞いてくるか。しかしあまり答えたくないな。 自分の名前が嫌いなんじゃない。ただ、言いたくないだけだ。 「………アスラだ」 適当に答えた。阿修羅を鈍らせてみたが、なかなか面白い名前になった。しかし、これが暫くの間の俺の名前だ。ちゃんと覚えておかないと大変だな。 すると、アズサが新しい俺の名前を何度も呟いた。 「………うん、覚えた」 「別に覚えなくてもいいだろ…」 俺は頭を掻く。何かある度にやってしまうこれは癖なんだろうな…。直そうとも思わんが。 するとアズサは俺に色んな質問をしてくる。 「ねぇ、どこからきたの?」 「ねぇ、武器持ってないってことは、アンタはモンク?」 「ねぇ、まずあり得ないと思うけど、竜と戦ったことある?」 ………うるせーな。つか、モンクとかドラゴンとか、一体何の話だ?どこぞのRPGか何かか? 俺はアズサの話を徹底的に無視して歩き続けた。これが痛覚までリンクした、覚めない夢なのか、絶対にあり得ない事だが、全くの別世界に迷い込んでしまったのか、すぐに知りたかった。
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