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突然だがここで、こうなってしまった経緯を語ることにする。
―――――――そう、あれは俺が放課後に図書室へ行った時のことだ。
普通に読書が好きな俺は図書室へ行くことが多かった。この日も新しい本を探しに来ていたんだ。
いくつもの本棚の間を通り、いろんな本を手に取っては本棚にしまう、そんなことを繰り返していた。
しばらくして、いい本も無いしそろそろ帰るか、そう思い帰ろうとした―――――――その時だった。
"誰か助けて……"
ふと、女の声がした。
ちょうどその日の図書室には俺以外誰も居なかった。だから声がしたのは気のせいだと思い、また歩き始めた。…するとまた声が聞こえて来た。
"助けて……"
これは気のせいなんかじゃないと俺は確信し、声がする方へ恐る恐る歩いていった。
だんだん声が大きくなる…。
そして俺は―――一冊の本に辿り着いた。
明らかにこの本から声が聞こえている。
その本は埃にまみれて、何年も読まれていないようだった。
俺は埃を手ではらい、表紙を見てみた。
…しかし、何も書かれてなかった。
赤茶色の表紙には文字や絵柄は書かれておらず、何ともシンプル過ぎる本だった。
"本を…開いて……"
また声が聞こえてきた。今度ははっきりと、俺がもつこの本から。
声の言う通り、本を開いてみた…
――――――その瞬間。
ぴかーーーーっっ
本から漏れ出た白い光が俺を包み、本に引き込まれた。
……そこで俺の意識は途絶えた。
そして、今に至るというわけだ。
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