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オレの名前は音無結弦。 下天(しもあま)高校1年E組。 一応、医者を志している。 夏休みだから、参考書でも買って勉強しようと思っていた。そのために出かけて、参考書を買って帰る途中だったんだ。 なのに何を思ったかすれ違った女の子に声をかけて、猛暑の中をさらに顔を熱くして家に帰ってきた。 もうダメだ、今日は勉強する気がなくなった。 そう思いながら家のドアを開けて中に入る。 「おかえり、お兄ちゃん」 「ただいま、初音」 妹の初音がにこにこ笑顔で迎えてくれる。 が、きっとその目当てはオレが買っていると思ってるマンガだろう。 「お兄ちゃん、何かマンガ買ってきた?」 そらきた。 「残念。参考書だけだよ」 「ちぇーお兄ちゃんのケチ、がり勉!!」 そう言って舌をべーと出してくる我が妹。 なんと言って叱ってやるべきだろうか。 「でもお兄ちゃんはお医者さんになるんだもんね、お勉強頑張ってね」 「あ、ああ」 リビングの扉を開けてひょこっと顔をこちらに見せて笑う初音。 こう言ってくれるから、オレはいつも叱れないんだ。 でもごめんな初音、お兄ちゃん今日はヤル気ゼロなんだ。 .
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