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そうこうしていると、やっと担任が教室に入ってきた。
眼鏡をかけた中年教師の登場にも生徒達は少しも動じずに各々トークを続ける。
担任のアダ名は「雨ガッパ」。
それ、雨具じゃんか。カッパじゃなくて。しかもハゲてないしな。
この人は悪い人ではないんだけど……まぁ要するに、少し舐められてるんだな。
雨ガッパは静かに、と何度か言ってからこう続けた。
「転校生が来てます」
全生徒の注目が雨ガッパに注がれる。
むろんオレも、目を見開いた。
「ま、マジでか?」
後ろでは日向が呟いている。
「入りなさい」
雨ガッパがドアに向かって言うと、そこからは銀色の髪をなびかせ、透き通るような白い肌をした、つい先日知り合った女の子が。
本当にあの娘が―
「ま、マジでか……」
オレは日向と同じ台詞を呟いてしまった。
「…………立華……奏です」
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