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立華さんはサンドウィッチをぱくぱくと小さな口で少しずつ食べる。
うちの食堂はメニューが豊富なところも評判がいい。
ちなみにオレは麻婆豆腐だ。
なんか、立華さんの顔を見たら無性に食べたくなったから。
「それ、おいしいの?」
ゆりが少し目を細めて聞いてくる。
確かに麻婆豆腐は、あまり美味しくないというレッテルを張られているメニューでもあったが、オレには関係ないね。
「あぁ、うまいぜ。なんなら、一口やろうか?」
「いらないわよ」
ぷいっとそっぽを向かれてしまう。
そりゃ不味いと噂の料理を食べたくはないよな。それにこれじゃあ、オレと間接キスになっちゃうし……。
「音無君、一口ください」
「ええぇぇぇ!?」
そう言ったのは立華さんだった。
そういえば麻婆豆腐をじっと見つめてたなこの娘……。
「くれないの?」
「い、いや別にいいけど」
オレがそう言うと彼女は目を閉じて顔をすこし前に出して、口を開いた。
「それはさすがに恥ずかしいよ!?」
「え?そうかしら」
……天然……なのか……?
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