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「あ、あたしがあげるわ。ほら奏ちゃん、あーん」
ゆりがオレの手からレンゲを取って麻婆豆腐をすくう。
「あーん」
ぱくっ。
もぐもぐ。
「うまいわ」
旨いんだ。
すまんゆり、今回はちょっと助かったぜ。
「あ、そうだ音無君、今日の夕方頃って暇かしら?」
ゆりは立華さんに餌付けしつつこちらを向いた。
「え?ヒマと言えばヒマだけど……どうしてだ?」
「ちょっと話があるのよ。5時半くらいに喫茶店『エンジェル』に来てくれない?場所わかるわよね?」
「え?あ、あぁ、わかるよ」
なんだって?ゆりが話がある?オレに?しかも喫茶店に来てほしい?もしかしてフラグなんじゃ……。
「日向君も来てね」
「ええぇ!?オレもかよ!?部活あるよオレ」
「そんなもん、サボりなさい」
フラグ崩壊。
オレは頭の中のあらぬ妄想をかき消して、一人悶え苦しんだ。
そして軽々しく部活をサボれというゆりを、やはりひどいやつだと勝手に念を押した。
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