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ーそんな訳で、放課後。
始業式のあったその日から授業が開始されるのはなんともひどいと思ったが、それももう終わった。
普段だったらこのまま帰るんだが、ゆりにああ言われたし……。
ケータイを開いて時間を確認すると、ディスプレイには15:45と記されている。
なんて微妙な時間なんだ……一度家に帰っても間に合うけど、そんなことをしたらもう表に出たくはなくなる。
仕方ない。
「日向~」
オレは教室をぐるりと見渡しつつ日向を呼ぶと、やつは今まさにドアから出ようとしていた。
「おい待て、お前カバンも持たずにどこに行くんだ?」
「職員室行って、顧問に休むって旨を伝えにいくんだよ。無断で休んだりしたら大変だからな……。すぐ戻ってくるからちょっと待っててくれ」
なるほど。
お前もゆりの理不尽な要求に応えるので大変なんだな。
「わかった」
そう言うとオレは自分の席に腰をかけた。
そういえば立華さんはどこいった?
掃除が始まって何人かの生徒がホウキで床を掃く姿が見えるが、その中に立華さんはいない。
帰っちゃったか?多分エンジェルの場所がわからないだろうから一緒に行こうと思ったのに。
「おーい音無ー」
後ろのドアが開かれるとそこには岩沢と、その後ろに立華さんがちょこんとたたずんでいた。
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