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「おっ、なんだオレ以外にも呼ばれてるやつたくさんいるじゃねえか」
「げっ、出たなチンピラもどき」
日向にそう言われたのは以前にも少し話した藤巻だ。
とりあえず話し方や仕草がいちいちチンピラもどき。
あと幸が薄そうなのは、本人も気にしているところらしい。
「じゃあオレはここに座るか」
藤巻は椎名と高松と松下五段のテーブルの空いている席に座った。
みんな特になにも言わないが胸中は微妙だろう。
藤巻は別に嫌われている訳ではないが、なにかと煙たがられる。
ー「なっ!?」
それから5分くらい経ったとき、入り口の方からがたんという音が聞こえたからそっちを見てみると唖然とした顔の野田がこちらを見ていた。
「お~野田、お前も部活サボったのか?」
「そ、そんなことはどうでもいい……お、オレはゆりっぺに呼び出されたんだぞ!?『秘密の話がある』と!!潤んだ瞳で!!」
「それ、色仕掛けって言うんだぜ。覚えとけよ」
オレが忠告するも野田は気にすることなく続ける。
「それなのに道中でこの男に会うわ、来てみればこんなに人がいるわ……」
そう言うと野田の後ろから背の高いバンダナの男が現れた。
「Oh~!!Boys&Girls!!」
「TK!!」
一同から歓声が起こった。
TK。
彼の本名は誰も知らない。
彼が何者で、今までなにをしていたのか知る者はいない。
そんな学校の人気者だ。
繰り返す。彼の本名は誰も知らない。
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