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そうして、どんどんと席が埋まっていく。
マスターが気をきかせて、四人掛けのテーブルを一つこっちに運んでくれた。
「おや、たくさん人がいるんですね」
「えっと……竹山……だっけか?」
「ええ、竹山です。しかし僕のことはクライストと及びください」
竹山が入ってきた時にはみんな談笑していて、すぐに気がついたのはオレと高松くらいだった。
「出ましたねメガネ被り……今この場で私の筋肉の力を披露しましょうか?」
高松が竹山につっかかる。いったいこいつら、なんの話をしているんだ?
「僕は肉体派メガネではないんで……何ならまた円周率でも唱えてあげましょうか?」
「ぐっ……」
そう言われた高松が明らかに怯んだのをオレは見逃さなかった。
なんだ?勉強のことなのか筋肉のことなのかさっぱりわからない。
「なぁ高松、竹山となんの話をしてるんだ?」
「メガネ被りの宿命です。非メガネの音無さんには理解できないでしょう」
そうですか。
どうやら蚊帳の外らしい。
ていうかそんなメガネの美学などわかりたくもないな。
オレはいじける野田を見て気を紛らわすことにした。
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