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「放課後、旧本館二階の階段踊り場に集合」
三時限目の途中でゆりから送られてきた一斉送信メールの内容はこんなものだった。
他の宛先は、どうやら昨日結成した「SSS」のメンバー全員。
ゆりだったら昨日の今日でみんなを集めるだろうなとは思ったが、案の定か。
みんな昼休みにはケータイを見るだろうから、このメールを見て何が起きるのかと想像を巡らせるんだろうな……。
かくなるオレも、何も知らない。
-「おいゆりっぺ、なに?あのメール」
午前の授業が終わり、日向がゆりのところに疑問をぶつけにいった。
教室は午前の授業を乗りきった安堵感と、弁当の匂いがそこここから立ち込めている。
「なにって、メールの通りよ」
ゆりも、立華さんと一緒に昼食を取りに食堂へと向かうようで、オレと日向もそれに付いていく形になってしまう。
「いや、だからそれじゃわかんねぇんだって」
「放課後を楽しみにしてなさい」
にやりと唇の端をつり上げる。その形相は妖艶な魔女といった感じで、なんとも恐ろしい。
オレと日向は揃って身震いした。
「そうは言われても……その楽しみにしてなさいってのが一番怖いんだよ……なぁ親友……」
「ど、同感だな親友……」
「そんなにビビらなくてもいいじゃないの!!ねぇ奏ちゃん」
「ええ」
ゆりの隣を小さな歩幅で歩く立華さんはゆりのフリににっこり微笑んで返す。
屈託のない笑顔だ。
ゆりはこんな子すら黒く染めようというのか……?
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