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校長が座っていたであろう机の上には、デスクトップが一台。
「あのパソコンは、拾ってきたんですか?」
高松が問う。
「竹山君寄贈の品よ」
確かにそこそこ新しい型のようだ。
しかし竹山、パソコンまで寄贈していいのか?まだ何をするのかもわからないのに。
「さて!!じゃあ記念すべき第一回のブリーフィングを始めましょうか」
部屋の真ん中の机を囲むように設置されたソファに座る者もいれば、立ったまま壁に寄りかかって話を聞いてるやつもいる。
オレは日向と並んでソファに腰かける。
「野田君、大山君、カーテン閉めて」
言われた通りに二人がカーテンを閉めると、当然だが室内は薄暗くなった。
するとゆりの後ろの天井から音を立てて大スクリーンが降りてくる。
「ゆりっぺ、そのスクリーンは買ったのか?」
「これも竹山君の寄贈品よ」
壁にもたれてノートパソコンを叩く竹山を見ると、視線に気づいたのかこちらを見て親指を立てる。
竹山、お前はこの戦線に賭けてるんだな。熱意が伝わったよ。
「さて、戦線一発目の作戦を発表します」
真剣な表情になったゆりを前に、一同に緊張が走った。
いったいどんな作戦なんだ……。
「食券を……」
「食券を……」
誰ともなくゆりの台詞を復唱してしまう。
「巻き上げる!!」
「巻き上げる!!……は?」
巻き上げる、だと?
「おいちょっと待てよ!!人数揃えてカツアゲってことか?見損なったぜ」
オレは思わずゆりに噛みついた。
ただみんな少なからず同じことを感じていたようだったので、誰も止めには入らない。
「ゆりっぺ、そんなことならオレは降りるぜ?」
日向が隣で腕を組みつつ言う。
「勘違いしないでよ、カツアゲじゃなくて文字通り『巻き上げる』のよ」
「だからそれに何の違いが……」
そこまで言いかけるとゆりはオレを片手を前に出して制し、パソコンのエンターキーを押す。
するとスクリーンに次々と3D映像が浮かび上がってくる。ゆりはにやりと口の端を歪め、
「タダ飯食わせてやるわよ」
とだけ言った。
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