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-時間は午後7時ちょっと前。
オレ達は今、にぎわう食堂の一角、ゆりに指定された扉近くに潜んでいる。
食堂は、寮住まいの生徒がいるためか毎日午後10時過ぎまで空いている。
特にこの時間は夕飯時ともあって、人も多い。
そして今日は「噂」を聞き付けてかいつも以上の混み様である、と戦線の構成員からの報告があった。
確かに反対側にいる筈の藤巻の姿など少しも見えない混み具合だ。
昨日と今日の2日で、ゆりは30人以上の構成員を戦線に勧誘したらしい。
相変わらず手が早いことだ。
で、「噂」の正体は二階と三階の間の踊り場にあるギター、ベース、ドラムと複数の楽器が示している。
そう、ガルデモのゲリラライヴが今夜、食堂で開かれるという噂で今日は持ちきりだった。
無論、情報源はゆりだ。
それをオレ達が聞かされたのは先ほどのブリーフィングでの事だった。
「……ほんとに上手くいくのかよ」
思わず独り言を渡されたトランシーバーに吹き掛けると、回線は切っていたがちょうどいいタイミングで連絡が入ってきた。
『始めるわよ。各員、準備いい?』
こちらも先程渡された合図用のレーザーポインターをゆりのいる階段に向けて光らせる。
すると次の瞬間、辺りの照明が落ちて会場がざわめいた。
そして-
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