573人が本棚に入れています
本棚に追加
『校舎側から生徒会役員と見られる生徒が来る。距離、あと150』
椎名から入ってきた無線は、瞬時にオレ達の気を引き締めさせた。
『その距離だったら待機中の誘導班Bに行かせて』
次いでゆりの迅速な指示が流れると、『了解』というまだ顔も知らない誘導班の構成員の返事が聞こえてくる。
「誘導ってなにやらせるんだよ」
オペレーション中は無駄話厳禁と言われていたが、オレはトランシーバーに向かって思わず疑問を言葉にしてしまった。
『その内容は彼らに任せてるわ。あなたは集中してあと15分間、自分の持ち場を守りなさい』
早口に言うとゆりはそれ以降話そうとはしなかった。
ゆりが任せているのなら、オレも彼らを信じるべきなのかも知れない。
『誘導班B、目標の排除に成功』
次に無線が鳴ったのは彼らが任務を完遂したという報告の声だった。
だが、安心出来たのもつかの間だったことは想像してもらうのは簡単だろう。
『教師が出てきたぞ!!』
恐れていた最大の問題が現実となったことに、まだまだ夏の暑さを忘れない9月の夜に背筋から冷や汗が流れた。
自由を尊重した方針の学校ながら、やはりこういった行動が気にくわない教師も多少はいるらしく、これまでにもパフォーマンス中止を余儀なくされたバンドやら団体もいるのはよく聞く話だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!