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オレがあわてて塞ぎに戻ろうとすると、一つの人影が俊敏な動きで扉に体をぶつけて開くのを防いだ。
「ここは任せて行ってください!!」
「高松!!」
そう、その人影の正体は高松だった。
そんなに近くにいた訳でもなかった筈だがどうやらオレの動きを見てすぐにフォローに来てくれたようだ。
「今から交代してる余裕はありません、行ってください音無さん!!」
「し、しかしそれじゃお前が……!!」
「安心して下さい。私はこう見えて着痩せするタイプなんです」
そう言うと高松は全身に力を入れ、開きかけた扉を押し込むと扉は向こう側の人間の力を感じさせない速度で閉じた。
「さぁ早く!!」
安心したオレはすぐに振り替えって正面扉に向かって駆け出した。
「松下五段!!TK!!」
走りながら声を張って二人を呼ぶ。
「どうした?」
「What are you doing?」
「こっちに来るぞ準備しろ!!」
オレ達がスライド式の扉を開かないように反対から押すと、すぐに腕に衝撃が走った。
「きた!!」
「むぅ!!」
「Come on!!」
ヤバい、これは向こうの人数がかなり多いみたいだ。
徐々に外から蛍光灯の明かりが細く射し込み始めている。
「ゆり!!まだか!?」
『次のサビで行くわよ、持ちこたえて』
「簡単に言うな……!!」
「Alchemy」が流れる食堂の盛り上がりは最高潮を迎えようとしていた。
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