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『回して下さい』
遊佐の無感情な声が扉と格闘する意識の端のほうで聞こえると、各所に設置してあった大型ファンが回転を始めて小さな台風のような風を発生させた。
すると生徒達が握っていたないしはポケットに入れていた食券、この盛り上がりで床に落ちた食券がまるで桜吹雪のように空中を舞い始める。
「すげぇ……」
つい見とれちまったよ。それはボルテージがMAXに達した会場と、ガルデモを称えているかのようにも見えた。
-「ほら岩沢、オムライスの食券」
「おっ、ありがとう」
ライブが終わり、少し熱気が落ち着いた食堂はいつもの雰囲気へと戻っている。
その一角に集まったオレ達戦線メンバーは、いよいよこれから夕飯だ。
「食券に有効期限はないから集めれるだけ集めなさい」とリーダーに言われたから、せこせこと回収して紙袋に集めた。保管するらしい。
そしてオレは今、岩沢に頼まれてた食券を手渡したところだ。
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