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-オレは戦利品をひとまずポケットの中に収め、再び練り歩きを始めた。
中庭のいくつもの模擬店が並ぶ中央には、文化祭実行委員会が作成した20メートル近い高さのやぐらが立っており、その全体の様子はまさにお祭りそのものといった感じだ。
そんな中で無駄に目立つ赤マントの同志を発見。
「よう、なにしてんだ」
オレが肩を軽く叩くと彼はダッシュで数メートル逃げた後にこっちを確認した。
「なんだ音無か……シール貼られたかと思ったぜ」
そう、自他共に認めるお祭り男である。
「シールどんな感じだ?オレは3枚貼られちまった」
「それがよ……みてコレ」
「……お前もうそれほとんど終戦じゃないか?」
ゆり達はどうやらあのシールを校門入ってすぐのところで販売しているようで、校門近くの綿あめやらたこ焼きやらに並んでいた日向はさっそく餌食になったようだ。
「まだ1時間も経ってないぞ?」
「集客力を甘くみたよ……ちきしょう……」
こいつももう自分が敗色濃厚だとわかっているんだろう。なんせシールが重なるほどびっしりだ。
口の周りに青ノリ引っ付けてるのも、もはやかわいく見えてしまう。
今回ばかりは同情してやる。
舐めてたとはいえ相手が悪かったようだ。
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