結成! 最強コンビ

6/11
前へ
/50ページ
次へ
「よ、良く言われるの。ミスティア──様にそっくりだって。『ティア』って言ったらミスティア様の愛称で有名でしょ?」  嘘をつく。お姫様を呼び捨てはさすがにマズイと思って「様」を付けた。 「そ、そうなのか。すまない、あまり流行に詳しくないもので……」  どうやら納得してくれたみたい。  王子様だから、世間知らずなのかな──って、なんか人事みたいだなぁ……、自分で考えたキャラなのに。  でも、よくよく考えてみたら、夢なのだから、なにも慌てることも嘘をつくこともなかったのでは……  まあ、なんとか誤魔化せたからいいか。 「改めて、名前を教えてくれないか? 変な意味はない。ただ純粋に知りたいだけなんだ」  彼の真剣な眼差しに、「美織。霧島美織」 「ミオリか……いい名だ」  ラーサは呟くように言うと、「ティアを見つけたら、キミの事を話してきかせよう」 「そ、そだね☆ 早く……見つかるといいね、ティアさんに」  あたしは微笑んでみせる。  ラーサは「ああ」と頷くと、「じゃあ」と言って、歩きだした。  彼の背中に向かって、あたしは心の中で言った。  ──安心して、ハッピーエンドにするから、必ず会えるよ。(そう、うまく行くかな?)  不意に、どこからか聞こえてくる不気味な声。あたしがイメージした通りの声。  この声の主は──魔王。 (ほう、なかなかいい勘をしている)  あたしの考えていることが、魔王にはわかってしまう? (その通りだ、キリシマ・ミオリ。この世界の創造主よ)  どうして…… (知っていて当然だ。おまえをこの世界に召喚したのは、この私なのだから。  おまえを消すためにな……)  ええっ?! (この世界を支配することは、私の力をもってすればたやすいことだ。しかし、おまえの気分しだいで、いつ消えるともわからないこの世界に興味はない。だから私は、おまえの住んでいる世界が欲しい)
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加