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「……朱里、無理しないでね?」
優子が言う。
私は慌てて首を振る。
「無理なんかしてないよ!」
「……そうかな」
……普段は仲のいい私達でも、今日はなんだか気まずい。
まあ当たり前か。
友人の通夜でわざわざ騒いでいる人の方が、人としてどうかしてると思うし。
それでも……やっぱりこういう重苦しい雰囲気は得意じゃなかった。
茜だって、きっと今頃淋しい顔をしているはずだ。
あぁ、茜……
あなたは今どんな気持ちで、この通夜に参加しているの?
どんな顔で私達のことを見ているの?
大好きだった茜。
まさか自殺をしてしまうだなんて……思ってもみなかった。
――私が茜の遺体を発見したのは、つい三日前のことだった。
放課後、一緒に帰ろうと思い、いつものように図書室に寄っている茜のことを迎えに行ったその時。
茜色の夕日が誰もいない図書室を照らしている中で、私は茜を見つけた。
茜の手には小さな折り畳み式のナイフ。
真っ赤な血液がべったりと付いていて、茜の白くて華奢な手首を無惨に切り裂いていた。
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