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――家に帰り、リビングには向かわずに私は二階へと上がった。
どうせ今はリビングに行っても誰もいない。
両親が共働きで二人とも帰りが遅いからだ。それ故か、普段からあまり話をすることも無いわけだが、別に仲が悪いわけでもない。
むしろ、私みたいに自由を好む性格の人には、ちょうどいい間柄だ。
部屋に入りスカートだけを着替えると、私はベッドに腰かけ、ふう、とため息をついた。
同時に、部屋の中が寒いことに気がついて、慌てて窓を閉める。
そして携帯が光っていることに気がつき、今度は携帯に手を延ばした。
受信メール十三件。
全て茜と仲がよかった私を気遣うような内容のものだった。
『大丈夫?』
だとか、
『元気出して』
だとか、そんなことばかりが書かれていて……読んでいる内に自然と目頭が熱くなった。
しかし、あくまで涙を零すのは堪えた。
私が泣いて……何になる?
茜はきっと、私にそんなことは望んでいない。
茜は、人の涙を見ることも、自分が涙を流すことも嫌っていた。
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