失恋と緑な不良くん

3/25
前へ
/249ページ
次へ
「しゅ、しゅきでしたっっっ!!」  ………………  …………  ……ありえない。かんだ。一番大事なとこを。 「……へ?」  当然田川くんは呆気にとられてぽかんとしてる。  あ、穴があったら入りたい。っていうかもう、消えたい。 「その……好き、なんです、はい」  情けないことにもう一回言い直したものの、すっかり意気消沈。  昨日さんざん鏡に向かって練習したのに。  「すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきす……キス!?」とか一人で赤面してたのに。  何なんだ私。 「好きって……桜井が俺を?」  本当に驚いている顔で、田川くんは目をぱちくりさせている。  恥ずかしすぎ……逃げたい……。でもまだダメだ、結果聞いてないし。  私はこくんと、頷いた。 「ぷっ」  ん?「ぷっ」?口からおなら……じゃないか。  突然田川くんが吹き出した。 「ははははっ、マジかよ!お前さ、鏡見たことあんの?」  ……え?  彼の言っていることが、すぐにはわからなかった。  歪んだ顔で笑いながら田川くんはさも可笑しいというように、私を見下ろしている。  鏡なら嫌というほど昨日見ましたけど。  そんなこと言えるわけもなく。 「ありえないっつーかさぁ……ブスに告られても嬉しくねーし」  私をあざ笑う田川くんの口元は、憎らしい笑みを浮かべていた。 .
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

720人が本棚に入れています
本棚に追加