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影から現れたのは、サラサラの茶色の髪に丁寧にメイクされた完璧な顔をした一人の女の子だった。
ちょっと私からしたら、スカート短すぎじゃない?なんて思わされるような、ギャルな女の子。
私はこの子を知っている。同じ学年の、本城咲妃。いつもやたら派手な集団の真ん中にいる子だった。
「なん、で……本城さんがいるの?」
声が震える。動悸が速くなる。さっきからズキズキ、胸が痛い。
ほんとは何となく、気づいてるのに。
「なんでって?桜井さんが大輔を呼び出したって聞いたから、面白そうだな~って思ってついてきちゃった。そしたらやっぱり告るし。予想通りだよ」
「あんま笑うなよ、可哀相じゃん」
大輔っていうのは田川く……いや、田川の名前。もはや呼び捨てだお前は!
クスクス二人していやらしい笑いを零しながら、私を見ている。
バカだと思ってるんだろう。滑稽だって。
「もう行こうぜ、咲妃」
「うん!じゃ~ね~、もう人の彼氏に手出さないでね~。ま、あんたじゃ相手にされないだろうけど」
「何当たり前のこと言ってんだよ、興味もわかねーって」
なるほどね、田川と本城さん……付き合ってたんだ。
そんなことも私、知らなかったんだ。なのに告白したりして……ほんとバカじゃん。
一人で勝手にドキドキして、昨日なんか全然寝れなくて。盛り上がっちゃって。
……惨めだなぁ、私。
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