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私はこういう“不良”と呼ばれるような男が、苦手だった。
平気で人の領域に入り込んで踏み荒らして、平然と去っていく。なんでそんなにズカズカ侵入できるのか、心底理解に苦しむ。
行動も言動も予測不可能。不良という生き物は私にとって、未知の生命体だった。
緑頭は屋上の柵にもたれるとポケットからタバコの箱を取り出し、そこから一本抜くとライターで火をつけた。
「ちょっとそれ、あなた未成年なのに……!」
「もう成人してる」
「え?」
ど、どういうことだろう。もう成人って、二十歳過ぎてるのこの人!?
見え……なくもないけど、でもやっぱり高校生っぽい……。
っていうかつまりそれって、
「ダブってんだよ、俺」
「あ、そうなんだ。ごめんなさい」
「ぶはっ!」
「……は?」
素直に謝ったのに、緑は急に吹き出してゲラゲラ笑い出した。白い煙が空に散ってゆく。
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