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「でもね、あたし達の世界では、人間の世界に行くことは、当たり前のように簡単にできるんだ。それこそ観光気分でね」
そう言った少女の顔は、さっきの不機嫌そうな声のしたときとは違い、ニコニコしていた。
「あとは、なんだっけ?」
と少女は言ってきた。
「もう一つは、この本の力の使いかたを」
「あーそれね。一応この本に書いてあるんだけどね。読むよりは、口で言った方が早いよね?」
と言って少女は右手を水平に上げその手の平を上に向けた。
「我、悪魔デュオの名において命ずる。燃え盛る火の精よ我に力を貸し給え」
少女はそこで一度言葉を区切り
「灯よ、我が手に灯れ」
といった。
その瞬間、少女の小さな手で握ることができるくらいの、小さな火の玉があらわれた。
「まぁ、実際にやるとこんな感じかな?口で呪文を唱えて使うんだ」
と少女は言った。
「ま、口じゃなくてもいいんだけどね。紙に書いたりとか、頭でその力を思い描くとかさ」
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