魔法の書物

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僕は、その突然の発光に驚き、その本を閉じてしまった。 そのときにわかった。 発光しているのは本のページではなく、表面。 表紙、背表紙、裏表紙にあたる部分だということに。 表紙、裏表紙には紙であったときの、よくわからないものが描かれていた。 背表紙には、記号なのか文字なのかもよくわからないものが、書かれている。 僕はその本を自分の学習机の上に置いた。 いきなり発光した物を、いつまでも手に持っているのは気味が悪かったからだ。 その発光していた本の光は、やがて一つに収束していった。光の向きは天井に真っ直ぐに向かっていた。 一つに収束した光はさっきよりも輝きを増し、光の途中の部分、僕の目の高さくらいの位置で、球体の形を作ってゆく。 球体は最初ビー玉ほどの小さなものであったが、段々と大きくなっていった。 その球体が卵ほどの大きさ、形になったところで、本の発光は終わった。
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