お薬の時間

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「はぁ……」 ため息しか出ないわ。 逃げるのは当たり前だっつの。 小さいときから新薬の試飲とか言って変な薬飲まされて頭から花が生えたり、手長足長様みたいになったら誰だって嫌だわ。 「……で、今回は何が起きる薬だ」 もはやこうなったらどうしようもないので、抵抗する気もなく、力なく聞いた。 「飲んでくれるの!?やったぁ!」 またもや溢れんばかりの笑顔。 あぁ…眩しい…… ってか人の話は完全スルーですかそーですか。 「はい、じゃあこれ飲んでね♪」 母はピンク色の液体が入ったビーカーを、俺の口元へ持っていく。 抵抗しても無駄なので素直に口を開くと、待ってましたと言わんばかりに液体を流し込んできた。 ゴクゴク 「ぷへっ…」 今回は多少ましな味だったな。 「お粗末様でした」 「ごちそうさまでした」 そう言うと上機嫌でビーカーを片付け始める。 しばらく黙って見ていたが、恐らく大事なことを忘れていると思ったので、聞いてみた。 「母さん」 「なぁに?」 「枷外すの忘れてないか?」 正直めちゃくちゃ首が痛いのだ。 「そ、そんなことないわよ?」
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