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君のそばにいるだけでいい。
だって、高木くんは
俺をメンバーの一人としか見てくれてないから。
最初は、高木くんが正直、嫌いだった。
チャラチャラしてて、どんな時もへらへらと笑って、なのに、どこか大人で、そんな高木くんが嫌いだった。
でも―――
「山田、大丈夫か?」
「っ、え?」
「顔、真っ青だぞ?
それに、さっきからフラフラ してるし…。」
「あっ、えっとー…」
その日、確かに、風邪をひいてて具合が悪かった。
でも、みんなにバレたくなくて、必死に我慢してた。
そのおかげか、みんなにはバレてないと思った、のに・・。
なのに、高木くんには見破られてて、なんで分かったの?と聞いたら――
「いつもの山田と違ったから・・・。」
微笑みながら言われて、胸がきゅんっと高鳴った。
これが、恋の始まりだと気付くのにそんなに時間はかからなくて、他の人よりも高木くんを知りたいと思いはじめた。
だけど――――
「山田に、相談したいことが
あるんだけど…」
「な、なに…?」
「俺さ、気になってる奴がいるんだよね…、」
「っ、え…?」
相談したい、そう言われたときすごく嬉しかった。
頼られてるんだって、そんな信用されるような関係になれたんだって、嬉しかったのに――
なのに、高木くんの相談は
好きな人の誕生日プレゼントはなにをあげればいいかっていう相談だった。
俺の誕生日はまだまだ先で、
絶対、俺じゃないことが分かって、胸が裂けるんじゃないかってぐらい痛くなって、呼吸するのも忘れて泣くのを我慢してた。
そっから、何て言ったのか分からない。
多分、適当に返事してたんだと思う。
それから、決めたんだ。
高木くんを諦めるつもりはない。だけど、この気持ちは伝えないで、高木くんの恋を応援するって。
だって、高木くんのそばにいたいから。
「高木くんっ!これ、あげたら どう?」
それに、高木くんの笑顔を見続けたいから。
「おっ、いいじゃーん!
山田、さんきゅ!」
頭に乗せられた手に
俺だけに微笑む笑顔に
また、胸が高鳴るから―――
fin..
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