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「ヴァルハラを見たくはないか、悠麻よ?」
「いきなり何言ってんだよ、むっつり」
時はいつものように気付かぬうちに廻って行った。
放課後教室の慌ただしさを何処か遠くに見ていた俺は呆れる。
「ノォーッ!!俺はむっつりじゃなくむつのりでもない、む・つ・き!陸紀だと言ってるじゃないか、悠麻!」
俺の友達(なのかな?)である浅川陸紀はあだ名で呼ばれた事を訂正しようとふんふん鼻息荒くしていた。
相変わらず、大げさな奴だな……。
「悪かったよ。で、陸紀。何の用だ?なんかヴァルハラが」
「そうだ!そうだとも、ヴァルハラだよ!悠麻、この世に存在するヴァルハラを見たくはないか?」
「……で、中身は?」
「一応、ライトユーザーであるお前には丁度いい女子高生とか水着とかそういう系、さ!」
俺はつっこまずに睦紀に中身を尋ねると彼は無駄に爽やかな表情で答えた。
予想というか予知に近い物だが……予想通りであったので頭が痛い。要するに彼にとってのヴァルハラはエロ本。いや、聖域がエロ本であってたまるか。
こんな煩悩の塊だから、周囲からもむっつりと呼称されている。
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