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「あの悪魔め……ヴァルハラを求める同志たちなんて事を……。悠麻、俺が囮になるからお前は回収してくれ。頼む。」
……このむっつりは小声で俺を勝手に犯人グループに入れてしまった。
「そういえば、成上?貴方もこのゴミクズの味方なの?いや、味方なのね?」
断定ですか、そうですか。
誰もが違うと言っても彼女は決して自分の推測を曲げない……「無差別罰則」たる所以の一つである。
そのせいで冤罪騒ぎも起きていたりする。しかし、大抵は抵抗虚しく酷い目に遭うらしい。
それにそもそも、普通の人なのに、善良な男子学生Aなのに。当然、俺にこの状況を切り抜ける程の高尚な力なんてない。
「悠麻、腹をくくるんだ。俺ができる限り、いや、今日一日はなんとしてでも引きつける。だから!」
「分かった……。」
睦紀が囮になると言い出してきた。よっぽどの物らしい。
俺には戦うコマンドは許されていない。そもそも返り討ちに遭うだけだ。なら、睦紀が死んで俺がしっかり回収すれば。
……むしろいいかもしれない。
いや、これは確実に良いぞ。
そう思った瞬間、俺は鞄と飲みかけのペットボトルを持って教室から飛び出していた。
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