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「あっ、待て成上ぃ!」
「そうはさせんぞ、梓ぁっ!!俺達の決着ここで付けちゃる!」
「くっ、いいわ!直ぐにアンタをボコボコにして成上を追っかける!」
「フゥーハハハ!このエロの伝道師に貴様など・・・・・・ってその木刀は何ですか、梓さぁーん!?いぎゃああああ!!」
俺が教室から出てすぐに睦紀の断末魔が聞こえた。
……やっぱり、悪い取引っつうか全く旨味がないものだったようだ。
屋上についた俺は、給水塔の裏にあった黒ビニール袋を回収した。
道中、俺の焦り具合から奇妙な視線をぶつけられたが、命より大事なものはなかった。
中身は……言うまでもなくエロ本(どうしてハードカバー)、いや彼の言うヴァルハラなるブツだった。
彼はこのハードカバーに並々ならぬ思いを、いやリビドーをぶつけていたのだろう。手袋まで用意してやがった。
流石に、ここまでの徹底っぷりを考えるに興味はないこともないけど、命の方が大事だよなぁ……普通。
脱力しつつ、命が惜しい俺は給水塔の裏から出ようと梯子に手を伸ばした、その時。
ガチャリ、と屋上の扉が開いた音がした。
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