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「全く……奏をなんだと思ってる。」
不機嫌になって悪態をつく。
「天音、そんなに怒らなくても……」
それを宥める。だが――
「いいや、気が済まないんだっ!ったく、どいつもこいつも奏を……」
再び怒りを露わにするも、ぶつける当てもなく、ただ持て余してイライラする。
しかし……、どうやってもどうやっても彼女は一人だった。それにしても物凄い演技力だと思う。
天音?という奴のセリフでは完璧に口調や仕草、ましてや性格すら変わってるように見える。
流石、全校生徒の半数が会員のファンクラブ出来たりどんな部活にも引っ張りだこ、の「主人公」だ。
……邪魔しちゃ悪いな、と思って、ひとしきり彼女が出ていくまで待っていようと思った矢先。
――ポコン……!と、気を抜いた足が飲みかけのペットボトルを蹴ってしまっていた。
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