第一章

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……あった。1年3組。 俺は1年3組に向かおうと、振り返った。 ドンッ 倒れはしなかったものの、鼻に結構なダメージがあった。 「……秋華か。」 ぶつかった相手が俺の名前を呟く。 ぶつかった相手の顔を見る。 「…なんだ、仁か。よう。」 ぶつかった相手は中学からの親友、神原 仁(カンバラ ジン) だった。 「……よう。」 仁が短く返事をする。 コイツは無口だ。 そして背が高い。 そしてなによりイケメンである。 中学の時はバスケ部のエースだったので、余計モテていた。 ちなみに、唯先輩に言ったのはコイツである。 なんの接点も無かった二人が親友にまでなったのは、俺が中2の時、興味半分で話しかけたのが始まりだった。 同じクラスになったのに、4月の自己紹介でしか話した所を見たことがない仁を見て、なぜか話しかけようと思った。 最初はシカトされたし、嫌な顔をされたことも多々あったが、段々と口を聞いてくれるようになった。 だが、俺が聞いた中で、仁が口にした最も長い一文は、 『チョコレートアイスクリーム入りストロベリーパフェください。』 である。 中3の頃から記録は更新されていない。 .
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