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「ナツ~!」
後ろを振り向くと、こちらに手を振りながら近づいてくる女の子が見えた。
一度も染めたことがないような黒い髪を頭の上で団子のようにまとめている。
佐田 唯(サダ ユイ)。
夏美の友達である。
夏美が高校1年生の時にできた友達で、何度か家にも来ているので、少し話したこともある。
夏美曰く、とてもモテるのだとか……。
俺は唯先輩と呼んでいる。
「あ、唯。」
夏美が唯先輩に気付く。
「おはよう、ナツ。シュウ君だよね?久しぶり。」
活発的で、ハキハキした口調。
高校生にしては小さめな身長である。
「久しぶりです、唯先輩。」
「やっぱりシュウ君か。いつの間にか背も高くなって、かっこよくなったね。」
と、唯先輩は笑いかけてくる。
少々幼さも感じられる。
顔も整ってるし、笑顔もかわいい。
なるほど、モテるわけだ。
「はは、ありがとうございます。」
と、冗談のように笑う。
「これからは後輩だよね、よろしく。あ、部活に入るなら、是非バスケ部に、ね?」
そう、唯先輩はバスケ部のマネージャーを務めている。
そうか、新入生を勧誘しなきゃいけないのか。
「それなら俺の友達が一人、入りますよ。」
あくまで俺は入ると言わない。
「本当?嬉しいな。」
純粋無垢な笑顔。
年下じゃないのか唯先輩……。
そんなことを思っていると、いきなり唯先輩に足を踏まれた。
「ッ……。」
思わず屈む。
顔を上げると黒いオーラを放った唯先輩の笑顔が……。
先輩怖いっス……。
夏美は唯先輩が足を踏んだことに気付いてないようだった……。
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