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「ちょっ…!?何の冗談!?止めてよ!!」
「……泣けよ。
俺はお前の泣き顔なんか見飽きたっつーの。
てかお前、高飛車だから俺以外の前で泣いた事ないじゃん」
「高飛車って…!!
第一、あんたの前でだって、大きくなってからは泣いてない!
私はいつだって……
いつだって、ひとりだったよ……」
葵は、語尾を涙声に変えて、
俺の腕の中で泣き出した。
今までだって泣きたい時は星の数程あっただろう。
だけど人前で泣けない彼女はどれだけ孤独だったのだろう。
俺は俺を見下した女の華奢な肩を抱いて、
何度も何度も髪を撫でた。
あの頃の俺が撫でるべきだった分も。
俺は葵の涙が枯れるまで、そうしていた。
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