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「……なぁ、霊夢。」
「ん? なによ?」
翼月は突然メモをやめて霊夢に話しかける。
「……霊夢は"仲間"って信じるか?」
「は? な、仲間?」
霊夢はどういうつもりかと翼月を見るが、霊夢を一直線に真剣な眼差しで見つめてる所から真面目な話だと察するが、つい目をそらしてしまった。
「俺は鬼人として生まれてから300年、俺はずっと1人だったんだ」
霊夢から目線を外した翼月は1人、語り始める。
「翼月……」
霊夢はただ名前を言うことしか出来ない。
「人間からは忌み嫌われて、鬼の力欲する者からは常に命を狙われて。だから自分を守りたい、それ一心で人も殺したし、妖怪も殺した。だから俺はこの世界には居てはいけないものなんだと自分で思ってた。その時、紫が現れて、もう追われない世界に連れていってくれると行ってくれた。だから幻想郷に来た。
……でもまだ迷ってる。俺みたいな罪の塊がこんな素晴らしい世界に居て良いのか。
そんな自分と俺は決別したい」
そこまで言って翼月は口を休めることにする。
尚も霊夢は何も言わない。ただ翼月が次の言葉を言うのを待つように、そこに居るだけだった。
「だから、霊夢、俺の仲間になってくれないか?」
「…………」
霊夢はその翼月に、人を信じる事を忘れた少年に、絶対にはまらないパズルピースをはめようとするように、自分の姿を重ねていた。
だからこそ、
「……えぇ」
拒絶できなかった、否、拒絶したくなかったのだろう。
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