第04章

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∮Side 新坂幹汰[ホスト教師] いつもより色気とエロさを増した声で耳元をくすぐると、びくりと反応した身体。 男にしては華奢な方に入るだろうその細い身体が、俺の声に反応した。 しかも気に入ってる奴の、だ。 興奮、しないわけがない。 思わず忍び笑いを漏らせば、颯人はぎろりとこちらを睨んできて。 「………生徒をバカにして楽しいですか」 「すげぇ楽しい」 満面の笑みで答えてやると、案の定顔をしかめる颯人。 まったく、可愛い奴め。 にやつく口元を極力抑えながら腕の中に収まる颯人を見下ろす。 睫毛長いんだなぁなんて眺めていたら、前から物凄い殺気を含んだ視線を感じた。 「………」 まぁ、わざわざ顔上げなくても予想はついていたが。 やはりその視線はいけ好かない生徒会長の久堂院からで、日頃の憂さ晴らしでもしてやろうと、俺は颯人を抱きしめる力を強めた。 「ぐ…っ、ちょ、先生、くるし、死ぬ、いやマジでこれ…ぅぐ」 「ああ、すまん」 「絶対思ってないだろホストめ…!」 まぁ落ち着け。 そんな意味も込めて、颯人の頭を撫でる。 てっきり苦情がくると思ったが、意外にも颯人はそのまま大人しく黙りこくった。 「…新坂、どういうつもりだ?」 ああ怖い怖い。 完全に嫉妬の念を燃やしている久堂院に向かって、おちょくったように肩をすくめる動作をしてやった。 「お前に負けるつもりはないってことだ、久堂院」 正直まだ恋愛感情なのかは分からないが、こいつ…久堂院だけには負けたくない。 くくっと喉を鳴らし、もう1度颯人を抱きしめる。 まだまだ時間は、ある。 混乱している颯人をゆっくりと離して。 「ふっ…、またな」 俺は生徒会室を後にした。 ∮Side 新坂幹汰(終) .
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