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∮Side 新坂幹汰[ホスト教師]
いつもより色気とエロさを増した声で耳元をくすぐると、びくりと反応した身体。
男にしては華奢な方に入るだろうその細い身体が、俺の声に反応した。
しかも気に入ってる奴の、だ。
興奮、しないわけがない。
思わず忍び笑いを漏らせば、颯人はぎろりとこちらを睨んできて。
「………生徒をバカにして楽しいですか」
「すげぇ楽しい」
満面の笑みで答えてやると、案の定顔をしかめる颯人。
まったく、可愛い奴め。
にやつく口元を極力抑えながら腕の中に収まる颯人を見下ろす。
睫毛長いんだなぁなんて眺めていたら、前から物凄い殺気を含んだ視線を感じた。
「………」
まぁ、わざわざ顔上げなくても予想はついていたが。
やはりその視線はいけ好かない生徒会長の久堂院からで、日頃の憂さ晴らしでもしてやろうと、俺は颯人を抱きしめる力を強めた。
「ぐ…っ、ちょ、先生、くるし、死ぬ、いやマジでこれ…ぅぐ」
「ああ、すまん」
「絶対思ってないだろホストめ…!」
まぁ落ち着け。
そんな意味も込めて、颯人の頭を撫でる。
てっきり苦情がくると思ったが、意外にも颯人はそのまま大人しく黙りこくった。
「…新坂、どういうつもりだ?」
ああ怖い怖い。
完全に嫉妬の念を燃やしている久堂院に向かって、おちょくったように肩をすくめる動作をしてやった。
「お前に負けるつもりはないってことだ、久堂院」
正直まだ恋愛感情なのかは分からないが、こいつ…久堂院だけには負けたくない。
くくっと喉を鳴らし、もう1度颯人を抱きしめる。
まだまだ時間は、ある。
混乱している颯人をゆっくりと離して。
「ふっ…、またな」
俺は生徒会室を後にした。
∮Side 新坂幹汰(終)
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